これを執筆している2022年10月現在、さらに水際対策が緩和され、個人の外国人旅行客の入国も許可されるようになっています。
外国人旅行客が増えればタクシーでも外国語の対応の必要性も生じてくるでしょうし、外国人のタクシー運転手の需要も高まってくるでしょう。
では、外国人をタクシー運転手として雇用するには、どのような方法があるのでしょうか?
外国人がタクシードライバーとして働くことができる就労ビザはこれまでありませんでした。
しかし、2019年から新たに設けられた在留資格「特定活動46号(本邦大学卒業者)」によって、外国人でもタクシー運転手の業務に就労が許可される可能性がでてきています。
現在のところ、外国人を「タクシー運転手」として雇用できるパターンはこちらの3パターンになります。
①身分系の在留資格を有している
②資格外活動許可を受けている(留学生アルバイト等)
③特定活動46号(本邦大学卒業者)
それでは、各パターンについて詳しく見ていきましょう。
「タクシー運転手」で外国人を雇用する方法
①身分系の在留資格を有している
日本人と結婚している外国人や、長年日本で働き生活してきて永住者ビザを取得できている外国人など。
ほぼ日本人同様に働くことができ、就労に制限が基本ありませんので、正社員でもアルバイトでも可能です。
具体的な在留資格としては下記になります。
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
外国人タクシードライバーを積極的に採用しているタクシー会社では、やはりこのような永住権を取得している外国人が多いようです。
外国人の在留カードの在留資格についての記載を見て確認しましょう。
②資格外活動許可を受けている(留学生アルバイト等)
留学生で資格外活動許可を得てアルバイトをする場合など、アルバイトとして就労が可能です。
ただし、注意点は、この場合、週28時間以内しか就労できないという縛りがあります。
1日換算でいうと、極めて短時間しか就労できないことになりますので、なかなか活躍がしにくいかもしれません。
しかも、運転免許について、人を乗せるタクシー運転手になるには普通自動車第二種免許が必要になります。
こちらの免許は普通自動車免許を取得し、運転経歴が3年以上経過していることが取得条件になります。
したがって、日本に来て間もない日本語学校や専門学校に通っている留学生が上記の条件をクリアできている場合は少ないのではないかと思います。
留学生は働ける法定の制限時間というものがあるので、実際にはタクシー運転手は難しそうですね…。
相当しっかり時間管理をしなければなりませんね。
③特定活動46号(本邦大学卒業者)
外国人が日本で働こうとすると、基本的に、その外国人がこれまで学んできた学歴や職歴と、働こうとする会社での業務内容に、強い関連性がなければビザの許可が下りません。
就労ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、上記のようにタクシードライバーとして外国人が働くことに許可は下りませんでした。
そういった関連性がなくても許可を受けられるビザが、2019年から新たに設けられたこちらの「特定活動46号」なのです。
これまで学んできた学歴とこれから就こうとする業務内容の関連性が就労ビザの一番大切なところであり、事実上制約が厳しいところでもありますね。それが、いわば取っ払われるわけですから、とても画期的な在留資格です。
簡単にいうと、日本の大学や大学院を卒業し、高い日本語能力を証明できる試験に合格していれば、働きたい仕事の関連性は求められない、というのが「特定活動46号」です。
具体的な要件としては下記になります。
・日本の大学や大学院を卒業した
・日本語能力が高い
ー日本語能力が高いことの立証要件ー
・「日本語能力試験N1」
・「BJTビジネス日本語能力テスト480点以上」
・「大学・大学院で日本語を専攻し卒業している」
上記のいずれかを満たしている
ただし、単に普通にタクシードライバーをやる、というのでは、許可は通りにくいです。
外国人だからこそ活躍できる、必要とされる業務内容である必要があります。
(例)
・外国人観光客(集客)のための企画・立案をやる
・通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーをする
外国人観光客のための仕事として、外国人である本人が必要なのだということを入管に証明し許可を受ける必要があるのです。
外国人であるからこそ、特定活動46号の要件を満たすほどの高い日本語能力があるからこそ出来る業務であることを証明する必要があります。