美味しいスイーツを作るパティシエ。
華やかそうにみえるお仕事ですが、洋菓子店やホテルなどでは長時間労働など厳しい環境である場合も多く、人手不足の分野でもあります。
日本のスイーツは外国人の間でも人気が高く、日本の食文化として学ぼうとする留学生も少なくありません。
これまではせっかく製菓の専門学校を卒業しても「パティシエ」として働ける就労ビザというものは存在しませんでした。
しかし、最近、政府のクールジャパン事業の一環としてそんな製菓の専門学校で学んだ留学生にも「パティシエ」として日本で働けるように制度ができてきました。
今回はそちらを取り上げてみたいと思います。
それでは詳しく見ていきましょう。
「パティシエ」として外国人が働くには?
農水省の「日本の食文化 海外普及人材育成事業」
これまで、製菓の専門学校を卒業しても、留学生は「パティシエ」として働くのに在留資格が許可されませんでした。
しかし、農水省が「日本の食文化 海外普及人材育成事業」という、日本料理をクールジャパンの一環として世界への発信を強化すべく、外国人で日本の食文化にちなんだことを学び仕事がしたいという者に機会を与える事業の推進を開始しました。
この事業を活用して、留学生が専門学校卒業後「パティシエ」として働くことができるようになっています。
働ける期間の上限は5年間
働ける期間の上限は5年です。
厳密にいえば、専門学校卒業後、製菓衛生師試験合格までの間、いわば暫定的にパティシエとして就労することが認められる在留資格「特定活動(製菓衛生師免許取得予定者)」が付与されます。
3年以内に試験合格できなければ、それ以上はパティシエの仕事をすることができません。
合格すれば、引き続きパティシエの仕事をすることができますが、期間は、先述の暫定的な期間も含めて上限5年間です。
言い換えれば、製菓の専門学校を卒業すれば、最低3年間は日本で「パティシエ」として働けるわけですね。
雇用企業は身元保証人にならなければならない
この事業を活用して外国人をパティシエとして雇用する際、あくまで育成事業としての一環でもあるので、就労者というよりはいわば「実習生」的な建てつけになります。
したがって、外国人を受け入れる雇用企業は、外国人をどのようにして実習していくのか、実習計画を作成し役所の認定を受けなければなりません。
また、外国人の身元保証人みたくしっかり生活面もサポートすることが求められます。
雇用企業は、その外国人の仕事だけでなく生活面まで全面的に面倒をみて責任を持って管理をしなければならないわけですね。
定期的に監査が入り、報告書を提出する義務もある
定期的に役所からの監査も受けることになり、報告書も作成し提出する義務もあります。
上記のように、雇用企業は専門学校卒業の外国人を雇用するのに、様々な負担や義務が伴います。
雇用できる人数は3名まで
ひとつの雇用企業につき、当事業を活用し雇用できる外国人は3名まで。
当事業は、外国人と雇用企業の他に、「取組実施機関」という第三者機関も参画することになっています。
その「取組実施機関」になれるのは、製菓衛生師の養成施設などの専門学校や大学。
離職率が高く人手不足なパティシエ業界
一方で、パティシエ業界も、需要は高いものの、洋菓子店やホテルといったパティシエの職場は厳しい環境であることが多く、離職率が高く、人手不足である現実もあります。
早朝から深夜まで働くこともあったり、長時間の労働に見合った給与が支払われるケースもまれといわれています。
専門学校が「取組実施機関」であるか要確認
留学生がパティシエになりたいとなったら、上記のように、当事業を活用してパティシエになりやすいかどうか、その専門学校が取組実施機関として積極的に関わっているかどうかもチェックポイントになるでしょう。