1993年から制度化され、現在まで運用されている外国人技能実習制度。
かれこれ30年近く運用されているわけですが…。
悪質ブローカーの介在による技能実習生の負担増、受け入れ企業の労務管理の不徹底による低賃金や莫大な残業時間の重労働、それら影響により実習生の失踪数の増加している現状です。
技能実習生の失踪数は毎年7000〜9000人にも上り、それが毎年続いているわけですから、通算で相当な人数の技能実習生が失踪しているわけです。
それもこれも、これらの問題にある本質は技能実習制度に問題があるといわれています。
今回、政府は本格的にこの技能実習制度の見直しへ着手を開始しました。
今回はこれについて、初心者の方にも分かりやすく解説したいと思います。
外国人労働者受け入れ制度は欠陥だらけで問題が山積
技能実習生の失踪者は年々増加
技能実習制度の失踪者は年々増え続け、大体年間で7000~9000名ほどの失踪者が出ている状況です。
実習生に対する来日前の費用負担や、ブローカーの介在、配属後の劣悪な労働環境など、様々な問題が頻発している「外国人技能実習制度」。
こんなに失踪者がいるんだ…。
1日に約20人の実習生が失踪している換算になるかな。
すごい深刻な問題なのに、あまり報道やメディアでこの点がクローズアップされていない気がする…。
古川法相から制度見直しに向けた動き
最近、法務大臣がコロコロ変わっていますが、2022年が始まったあたりから、前任の古川法務大臣によって、外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しを視野に入れた勉強会が定期的に行われてきました。
ついには、古川大臣から、「長年の課題を歴史的決着に導きたい」と、技能実習制度を見直すことを明言するような発言がありました。
その後、まもなくして、内閣改造があり、法務大臣は交代になり、古川氏は法務大臣のポジションからは退くことになりますが、与党の司法制度調査会長という、技能実習制度の見直しに関わる重要なポジションを担当しています。
「技能実習制度の廃止も選択肢」
そんな古川氏は、「技能実習制度の廃止も選択肢」であると、見直しどころか制度の廃止を視野に動いている、との発言まであります。
そして、今回、本格的に、外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しに着手する動きが顕在化しました。
これまでと、今回、そして今後の見通しを、初心者の方にも分かりやすく解説したいと思います。
なにげに重大な意味を持つ発言ですね
ここまで踏み込んだ発言をするということは、水面下でよっぽどの確実な流れがあるのでしょう。2023〜2024年頃には現在の技能実習制度は抜本的に変わっていく可能性は非常に高いですね。
法律に2022年頃に制度見直すことが明記
技能実習法は施行5年後(2022年頃)見直し
そもそも、2017年に施行された、外国人技能実習制度に関する法律には、法律施行して5年後(2022年頃)に制度の在り方を見直すことが明記されています。
法律に明記したからには、2022年から本格的に制度見直しに着手し2023~2024年頃には制度を改めなければならない、ということになります。
特定技能は施行2年後(2021年頃)見直し
また、2019年に施行された、特定技能制度に関する法律には、法律施行して2年後(2021年頃)には制度の在り方を見直すことが明記されています。
こちらも、明記したからには、技能実習制度と同じように、2022年頃から着手し、2023~2024年頃には制度を改めるということになります。
技能実習と特定技能の見直し予定時期が元々一致していた
上記のように、外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しの時期はあらかじめ同じ時期になるように設定されています。
もしかすると、政府内では、この2022~2024年に、根本的に新しい外国人材の受け入れ制度に舵を切る方向で計画的に考えていたのかもしれませんね。
元々、2022〜2024年頃に、これまで乱立していた受入れ制度を一本化して新制度を創立して運用しようと計画していたのかもしれませんね。
制度見直しに本格着手へ
上記のような背景の中、ついに政府は本格的に「外国人技能実習制度」と「特定技能」の制度見直しに着手することを発表しました。
2022年11月22日に有識者会議を設置。
出入国在留管理庁が事務局となります。
メンバーは以下の通り。
経団連の産業政策本部長や、北海道知事、元警視総監などが名を連ねており、座長は独立行政法人国際協力機構理事長が担うということになっています。
2023年秋に最終報告書をまとめる
2022年内に第一回目の会議を開催。
官房長官は「スピード感をもちつつ、外国人材の適正な受け入れ方策の検討に向けて活発な議論を期待する」と発言しており、スピードを上げて制度見直しに取り組んでいく意欲的な姿勢を見せています。
今後は、随時、有識者会議を実施していき、2023年の春に中間報告を発表、そして、2023年の秋に「最終」の報告書をまとめる、としています。
その最終報告書をもとに、関係省庁が具体的にどのような制度にするか決めるとされています。
2024年頃には新しい受け入れ制度に移行か
上記のような流れですと、おそらく2024年には新制度に移行するのではないでしょうか。
また、報道では、「技能実習制度を廃止」「特定技能に一本化」との記載もあります。
報道でこのような記載があるということは、政府内や与党内にそのような強い動きがあるのでしょう。
これから目まぐるしく、技能実習制度と特定技能制度は変革されていくと思います。柔軟に対応できるように、法制度の見直しに関するニュースには心を配っておく必要があるでしょう。