
外国人を採用する前に
必ず確認すべきポイント
在留カードのチェック方法や在留資格の確認など、
採用前に必要な確認をまとめています。
■1
●1
外国人の方から求人応募が来たとき、まず頭に浮かぶのが「日本人の採用と同じでいいのかな? 何か追加で確認が必要だよね…?」という不安だと思います。


在留カード? パスポート? ウチの会社で働けるか…?
具体的に何を確認したら、企業として一通り確認したといえるのか?イマイチわからないな…
入管のサイトを検索してみても情報が点在していて、ちょっと焦ってしまう人事担当者の方は少なくありません。
そこでこのページでは、外国人の方が応募してきたときに、企業側がまず押さえるべき確認ポイントを、順番どおりに並べました。
===3
この特設ページでは、
👇このページで分かりやすく整理していること
- 採用前に最低限確認すべきこと
- 現場でできるチェック方法
- 専門判断が必要になる境界線
を整理しています。
もちろん、在留資格の判断はケースによって難しくなることもありますが、最初の入口で「何から見ればいいか」が分かるだけで、採用判断はかなりスムーズになります。
外国人の方の採用を検討するときは、ぜひこのページを手元に置いて、チェックリスト感覚で活用してください。





このWebページに目を通していただけたら、外国人を採用する際に企業が必ず確認しなければならないことを一通り確認できるようになっています。また、何故このような確認をする必要があるのか?そもそもの基本的な背景も把握できるようになっています。ぜひ、ご活用くださいね
===2
===3
ここからは、いよいよ本題に入ります。
外国人の方が求人に応募してきたとき、企業が最初に押さえるべき大前提は、
「外国人は、最初から当然に日本に住めるわけではない」
という点です。
少し言い方をやわらかくすると、
外国人の方が日本で生活するためには、国のルールに沿って審査を受け、一定の期間と活動内容を決められたうえで、はじめて日本での在留が認められる、
という仕組みになっています。
この「日本に在留してよい」「この範囲の活動ならしてよい」という許可のことを、在留資格と呼びます。
現場では、在留資格のことをまとめて「ビザ」と呼ぶことも多いのですが、厳密にはビザ(査証)は入国前の手続で使われる言葉で、入国後に日本でどんな活動ができるかを決めるのが在留資格、という整理になります。
このページでは、基本的に「在留資格」という言い方で統一して説明します。
つまり企業側の確認は、いきなり「この仕事を任せられるか」から始まるのではなく、
そもそもその方が、きちんと在留資格を許可されて日本にいる方なのかどうか?
ここを確かめるところからスタートします。
ちなみに、仕事についても同じです。
日本で働くには、「働ける内容の在留資格」が認められている必要があります。
在留資格にはたくさん種類があり、仕事ができるものもあれば、原則として仕事ができないものもあります。また、原則は就労不可でも、別途の許可によって一定の範囲だけ働けるケースもあります。
ですので、外国人雇用では「在留資格があるか」だけでなく、「就労が認められる在留資格(または許可)の範囲か」という視点がとても重要になります。
ここで、日本人採用との違いを、いちばん分かりやすく整理します。


日本人の場合は、本人と企業の合意ができれば、その会社で働けます。
一方、外国人の場合は、本人と企業の合意に加えて、在留資格という行政の許可があってはじめて、適法に働けます。
もし、在留資格の許可がない方を雇用してしまうと、本人は不法就労となり得ます。
そして企業側も、不法就労助長にあたるとして処罰の対象になり得ます。
さらに、「知らなかった」としても、在留カードの確認をしていないなど、確認を怠った事情があると問題になることがあります。
だからこそ企業は、外国人の方が求人に応募してきたとき、まず最初に、
在留資格が許可されている方かどうかを確認しなければなりません。
この確認は、外国人雇用の入口であり、会社を守るための基本動作です。
もしここを飛ばしてしまうと、万が一トラブルになったときに、企業側の責任が重く見られる可能性があります。
そして、不法就労の問題は社会的な注目度も高いため、発覚時のダメージが小さく済まないこともあります。
このページでは、そうしたリスクを避けるために、企業としてまず行うべき確認を、順番に、できるだけ分かりやすく並べていきます。
まずは「在留資格がある方かどうか」の確認から、一緒に進めていきましょう。
=====
それでは、求人に応募してきた外国人の方が、そもそも在留資格を許可されて日本にいる方なのか。
ここを確認するには、どうしたらいいのでしょうか。
結論から言うと、入口はシンプルです。
外国人の方は、在留資格に関する許可を受けて中長期で日本に在留する場合、原則として在留カードが交付されます。
ですので、まず最初は、その方が在留カードを持っているかどうか自体を確認してください。
在留カードとは?


ここで大事な注意点があります。
在留カードは、必ず原本(実物)を提示してもらって確認してください。
たとえば、


「コピーで大丈夫ですか?」
「スマホで撮った写真でいいですか?」
「スキャンデータしか手元にありません…」
といった形で、原本の提示を避けようとする場合があります。
しかし、コピーや画像データは、あとから内容を変えられてしまうおそれもあります。
企業としては、ここで遠慮せず、原本の提示をお願いして大丈夫です。
原本を確認できない場合は、次のステップに進めない、という判断もあり得ます。
それくらい、入口の確認として重要です。
=====


「在留カード」を見せてもらったら、次は「このカードが本当に本人のものか」を確認します。
在留カードには顔写真が載っていますので、
👇在留カードの「顔写真」とチェック!
- 目の前の本人
- 在留カードの顔写真
が一致しているか、必ず見比べてください。


「パスポート」もあわせて提示してもらいましょう。
👇パスポートの「顔写真」とチェック!
- 目の前の本人
- 在留カードの顔写真
- パスポートの顔写真
この3つが同一人物に見えるかも確認すると、より安心です。
氏名と生年月日をチェック
次に、氏名と生年月日です。
「在留カード」と「パスポート」の記載を確認し、「履歴書」や「応募フォーム」の内容と付き合わせてください。


「氏名の表記(ローマ字表記を含む)」や「生年月日」、「国籍」などの基本情報が一致しているかを見ます。
住所の確認
ここで、基本情報の確認として、もう一つだけ追加で見ておきたいポイントがあります。
それが、在留カードに記載されている住所です。
まずは、在留カードに書かれている住所が、履歴書や応募フォームに書かれている住所と一致しているかを確認してください。
住所が食い違っている場合は、単なる記載ミスではなく、在留管理上の手続が未了になっている可能性があります。
在留カード記載の住所が、実際に住んでいる住所か確認しましょう。もし、そうでなかったら、届出義務を怠っている可能性があります。
そして、住所の確認で必ず押さえたいのが、在留カードの裏面です。
外国人の方が引っ越しをした場合、原則として新しい住所は市区町村での届出手続により在留カードの裏面に記載されます。
ですので、表面だけでなく裏面もあわせて確認してください。
ここで、面接の場などで一言たずねてみてください。
この在留カードに書かれている住所は、今実際に住んでいる住所ですか?
というのも、引っ越し後の届出が必要だと知らなかったり、忙しくて後回しになってしまったりして、住所変更の届出を済ませていないままになっているケースが一定数あります。
もし、実際の住所と在留カードの住所が違うと言われたら、採用選考はひとまず立ち止まって大丈夫です。
住所変更の届出は在留管理の基本事項で、移転後は期限内に市区町村へ届け出ることが求められています。
届出が未了のまま放置されていると、後々の在留資格の更新や変更などの手続で不利に働く可能性もあります。
この場合は、本人に対して、
できるだけ早く市区町村で住所変更の届出を行い、在留カード裏面に新住所が記載された状態にしてきてください
と案内してください。
企業としても、現住所が在留カードで確認できる状態になるまでは、在留管理上の基本事項が整っていないため、選考の進行や内定の確定を保留するという対応が安全です。
「確認が取れてから再開しましょう」と伝えるのは、過度に厳しい対応ではなく、企業としての適切なリスク管理です。
これらの確認は、難しい専門知識がなくてもできる、基本の本人確認です。
もし少しでも違和感があれば、その場で確認を止めて、追加で説明や資料の提示を求めるなど、慎重に対応してください。


ここでひとつ、すごく大事な補足です。
この先、このページでは「こういう順番で確認してください」という形で、いくつかのチェック項目を案内していきますが、確認は“見て終わり”にしないでください。
できれば、ひとつひとつの確認を、記録として残しておくことをおすすめします。
確認したことは「記録」して保管しておきましょう。
なぜかというと、外国人雇用の確認は、実務上「これをやれば絶対に100%安全」と言い切れる世界ではないからです。
行政の案内に沿って確認を重ねれば、おおかたのリスクは避けられます。
それでも、万が一あとから問題が見つかったときに、企業として「その時点で、合理的にやるべき確認をしました」と説明できるかどうかで、状況は大きく変わります。
ですので、これから行う確認は、次のような形で“エビデンス”として残す意識を持ってください。
例えば、残しておきたいものはこういうものです。
👇外国人採用時:記録として残すもの一覧
- 確認した日付と時間
- 確認した担当者名
- 確認した書類の種類(在留カード、パスポートなど)
- 確認した項目(顔写真の照合、氏名・生年月日の一致など)
- 判断のメモ(どの点を根拠に、問題なしと判断したか。違和感があった場合はどう確認したか)
そして、可能であれば、在留カードやパスポートをその場で一時的にお借りして、コピーを取っておくと、より確実です。
在留カードは表面だけでなく裏面もコピーし、パスポートは顔写真のページなど、確認に使ったページをコピーします。
コピーを取ったら、すぐに本人へ返却してください。
さらに、そのコピーの余白に、
👇在留カードやパスポート等のコピーに書き記すこと
- 確認日
- 確認者名
- 原本を確認した旨
をメモしておくと、「その日に原本を見て確認した」という説明がしやすくなります。
記録を残す目的は、疑うためではなく、企業を守るためです。
確認したことが後から説明できる状態になっていれば、担当者の不安も減りますし、社内の引継ぎもスムーズになります。
このページでナビゲートしている外国人採用の際の確認チェックは、ぜひ「確認したら、記録も残す」というセットで進めてみてください。
在留資格の有効期間中か


では次に、在留期限(有効期限)を確認していきましょう。
基本情報の確認が終わったら、次に見るべきなのは「その在留資格が、今この時点でも有効かどうか」です。外国人の方が日本で中長期に住んで生活できているのは、在留資格の許可があるからです。そして在留資格の許可には、有効期限があります。
大事なポイントはここです。
在留資格は、いったん許可されたら一生ずっと有効、という仕組みではありません。許可には期間があり、期限が近づけば、更新の申請をして、改めて許可を受けていくことで在留が続きます。もし更新の許可を受けないまま期限を過ぎて滞在してしまうと、不法滞在の状態になってしまいます。
ですので、在留カードの表面にある「在留期間(満了日)」を見て、必ず次の2点を確認してください。
👇在留カードの「有効期限」でチェック!
- 期限がすでに切れていないか
- 期限がいつまでか。つまり、今どれくらい在留期間が残っているか
実際、不法残留(いわゆるオーバーステイ)の方は統計上も一定数いるとされています。だからこそ、在留期限の確認は「念のため」ではなく、採用の入口で必ず行う基本チェックだと考えてください。
ここで、実務上の注意点が2つあります。
①期限が切れていなくても、期限がかなり迫っている場合
このケースは、採用手続と同時に更新や変更などの在留手続が絡みやすくなります。
また、応募の背景も人によって様々です。
例えば、転職理由や、なぜ今の勤務先で更新しないのか、今の状況はどうなっているのかなど、通常より丁寧にヒアリングしておくと安心です。これは「疑う」というより、「採用後の手続やトラブルを減らすための確認」です。
②すでに在留期限が過ぎているのに、本人が「申請中です」と言う場合
在留期間の更新許可申請などを期限内に出していて、審査結果がまだ出ていないケースは現実にあります。この場合、一定の条件のもとで、結果が出るまでの間などに限って、引き続き在留が認められる扱いになることがあります。例えば、在留期間の満了日までに在留期間更新許可申請(または在留資格変更許可申請)を行っていれば、原則として「審査結果(許可・不許可)が出る日」または「満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日」までの間は、引き続き在留できる取扱い(特例期間)になります。
ただし、ここは必ず「自己申告だけ」で終わらせないでください。
本人が申請中だと言うなら、次の2つを原本で確認しましょう。
👇本人が「今、ビザ申請中です」と言う場合、これをチェック!
- 在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に、申請中であることを示す記載があるか
- 入管で申請を受け付けたことを示す受付票など、申請を裏付ける資料を持っているか
この2点が確認できて、はじめて「申請中のための例外的な扱いの可能性がある」と整理できます。
逆に、裏面の記載も受付を示す資料もなく、「申請中です」の一言だけの場合は、その場で判断せず、次の確認に進まないほうが安全です。



へぇ、有効期限が過ぎていても特別に在留許可がある状態というのがあるんですね



在留資格の更新申請をだして審査は数ヶ月程度かかる場合があります。なかには在留期限を過ぎてもまだ許可か否かの処分がでていない場合は有り得ますが、その審査中である証拠をしっかり確認しておかなければなりません。決して自己申告だけで鵜呑みにしないでください
偽造の在留カードでないかの確認
在留カードが偽造でないか確認する
求職者の外国人が偽造カードを提示してくる可能性はある
次に、在留カードが偽造・変造されたものではないかを確認します。
ここは「そんなに起こるの?」と思われがちですが、実務では油断できません。出入国在留管理庁も、不法滞在の縮減に向けた取組の中で、偽造在留カードの製造拠点が摘発されていることなどに触れており、注意喚起がされています。
つまり、求人応募の場面で、見た目はそれっぽいカードが出てくる可能性は十分にある、という前提でいたほうが安全です。
求人応募してくる外国人が、偽造の在留カードを提示してくる可能性はあり得ます
偽造カードの確認方法とは?
では、どう確認するかというと、大きく2つあります。
👇在留カードが偽造・変造されたものでないか確認する方法
- 目視で券面を見る
- ICチップをアプリで読む
①目視で券面を見る
「まずは一目で気づける違和感」を拾う
まず、目視の確認です。
最初は本当にシンプルで大丈夫です。
印刷が不自然に粗くないか、文字のにじみやズレがないか、カードの厚みや質感が明らかに違和感がないか、ホログラムや透かしの雰囲気が雑ではないか、といった「一目で気づける違和感」を拾います。


👇まずは一目で気づける違和感を拾う
- 印刷が不自然に粗くないか?
- 文字のにじみやズレがないか?
- カードの厚みや質感に違和感がないか?
- ホログラムや透かしが雑ではないか?
偽変造防止加工を確認


次に、券面にある偽変造防止加工は、光の当て方や角度で見え方が変わるものがあるので、明るい場所でカードを軽く傾けたり、光を当てたりして、見え方に不自然さがないかも確認します。
ただし、目視だけで「本物だ」と言い切るのは難しいのが現実です。見た目が精巧な偽造もあり得ます。そこで重要なのが、次のICチップ確認です。
②ICチップをアプリで読み込む
在留カードにはICチップが入っており、出入国在留管理庁が提供している公式の「在留カード等読取アプリケーション」で、ICチップの情報を読み取って確認できます。
やり方は難しくありません。
👇「在留カード等読取アプリケーション」を利用した確認方法
アプリを起動して読み取りを開始し、スマートフォンを在留カードに近づけると、ICチップの情報が表示されます。
そこで、表示された情報と、在留カードの券面に書かれている情報が一致しているかを確認します。
もし読み取れない、表示内容が一致しない、といったことがあれば、その時点で要注意です。本人の説明だけで進めず、採用の選考は一旦止めて、状況を整理したうえで、必要に応じて関係機関への相談も検討してください。
そして最後に、確認した証拠を残しておきましょう。
アプリの結果画面はスクリーンショットで保存し、いつ・誰が・どの端末で・どのカードを確認したのかが分かるように、確認日と担当者名もあわせて記録しておくのがおすすめです。これだけでも、企業として「やるべき確認をした」ことを後から説明しやすくなります。
在留資格が失効していないかの確認方法
在留カードは本物でも、入管の方で在留資格が取り消されて失効している場合がある
ただし、ここまでの確認を経て、券面も自然で、ICチップも読み取れて「これは本物の在留カードの可能性が高い」と思えても、まだ安心しきれません。
理由はシンプルで、在留カードそのものが本物でも、そこに書かれている在留資格が、後から取り消されて失効している場合があるからです。
つまり、
カードは本物、見た目も期限内、でも効力はゼロ
というケースがあり得ます。
例えば、申請内容に虚偽があったことが後から発覚した場合や、重大な違反が確認された場合などには、在留資格が取り消されることがあります。
その場合、本来は在留カードを返納すべきなのに返納されていないなどの事情が重なって、手元にはカードが残っているのに、在留資格としてはもう有効ではない、という状態になり得ます。
もしその状態のまま就労させてしまうと、結果的に「就労が認められていない外国人」を働かせたことになり、企業側も大きなリスクを抱えることになります。
在留資格が失効していないか?の確認方法とは
だからこそ、ICチップの確認の次に、必ずやってほしいのが
「失効していないか」
の確認です。
確認方法は難しくありません。
出入国在留管理庁が公開している「在留カード等番号失効情報照会」というページを使って、提示された在留カードの番号を入力し、照会結果を確認します。
画面の案内に従って必要事項を入力して「照会」を押すだけですので、実務でもすぐに回せます。
そして重要なのは、
確認した事実を残すこと
です。
照会結果の画面は、その場でスクリーンショットを撮って保存してください。
いつ、誰が、どの在留カード番号を、どのページで照会したのかが分かる形で残しておくと、後から「企業として必要な確認をしていた」ことの説明がしやすくなります。
なお、この照会は便利ですが、照会結果だけで在留カード等の有効性を完全に証明できるものではない点にも注意が必要です。
だからこそ、券面確認やICチップ確認とセットで行い、複数の確認を積み重ねることが大切です。
今持っている在留資格で働けるかの確認をしよう
今持っている在留資格で働けるか?の確認が重要
さあ、ここまでで、
- 在留資格を許可されているか?(在留カードを持っているか)
- その許可されている本人か?(顔写真・氏名・生年月日の照合)
- 現在住んでいる住所が在留カードに記載されているか?
- 在留カードが偽造ではないか?
- 在留資格が失効していないか?
を確認できました。
でも、
これで終わりではありません。むしろここからが、本番です。
次に確認すべきことは、
「今その人が許可されている在留資格で、今回の採用予定の業務ができるのか」
という点です。
働ける在留資格とは?
在留資格には、大きく分けて、
- 働ける在留資格
- 原則として働けない在留資格
- 働けないけれど、限定的な許可を受けた範囲で働ける在留資格
があります。
そして「働ける在留資格」であっても、多くの場合は、職種・仕事内容・雇用主・勤務場所・条件などによって、できる活動が決まっています。
もし許可されている範囲を超えて働くと、外国人本人は不法就労となり、雇用した企業側も不法就労助長に問われるおそれがあります。
だからこそ、「今の在留資格で、うちの会社のこの仕事を任せてよいか」の確認は、会社の生命線にも関わるほど重要です。
判断はとても複雑だ
ただし、ここで厄介なのは、
この確認がとても複雑だ
ということです。
行政から「この順番でここを見れば、誰でも必ず判断できます」という統一的な確認手順が、現場向けに細かく提示されているわけではありません。
なぜなら、
在留資格は種類ごとに考え方が違い、さらに本人の学歴・職歴・過去に許可された活動の前提・今回の仕事内容・実態など、複数の事情をセットで見て判断される色合いが強いから
です。
特に就労系の在留資格は、ケースバイケースで入管の判断(裁量)が関わる場面も少なくありません。
そのため実務上は、企業側が一定の合理性をもって確認・判断し、「なぜそう判断したのか」を説明できる状態にしておくことが求められます。
そこで本ページでは、すべての在留資格を網羅的に解説するのではなく、企業の現場で特に相談が多い在留資格を例にしながら、「今持っている在留資格で、そのまま雇用できるのか」という一点に絞って、判断の軸とチェックポイントを整理していきます。
在留資格はここで確認
在留資格の確認を始める前に、まずは
「その外国人が、どんな在留資格で、どんな条件で日本に在留・就労できる状態なのか」を、どこで読み取るのか
を押さえておきましょう。
確認箇所
在留資格の情報は、主に次の4か所で確認します。
- 在留カード表面:在留資格(在留資格名)
-
在留カード表面の「在留資格」の欄に、その人が許可されている在留資格名が記載されています。まずはここで、在留資格の種類を確認します。
- 在留カード表面:就労制限の有無(就労可否の欄)
-
次に、同じく表面の「就労制限の有無」の欄を確認します。
ここには、就労できるかどうか、できる場合もどのような範囲で就労できるかが記載されています。
例えば、代表的には次のような表示があります。
- 就労制限なし
- 在留資格に基づく就労活動のみ可
- 指定書により指定された就労活動のみ可
- 就労不可
この欄だけで「働ける/働けない」を即断できるケースもありますが、「条件付きで就労できる」類型も多いので、必ず次の裏面もセットで確認してください。
- 在留カード裏面:資格外活動許可欄(許可の有無/条件)
-
表面で「就労不可」と記載されている在留資格でも、例外的に、一定の条件のもとで就労が認められている場合があります。
その例外の許可が「資格外活動許可」です。
これは「本来の在留資格で許可された活動(在留資格)とは別に、一定範囲で“資格の外”の活動(就労など)をしてよい」という趣旨の許可です。
資格外活動許可を受けているかどうかは、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」で確認します。
許可がある場合は、許可の内容(例:時間の上限など)が記載されています。
よくある例としては、次のようなケースがあります。
- 留学で資格外活動許可を受けている場合
-
学業が本分である前提で、一定の範囲内でアルバイト等が認められていることがあります。
- 家族滞在で資格外活動許可を受けている場合
-
本来は就労できませんが、許可がある場合に限って、一定範囲での就労が認められていることがあります。
- 旅券(パスポート):指定書
-
在留資格の中には、在留カードに書かれている情報だけでは判断しきれず、パスポートに添付されている「指定書」の内容が実務上のカギになる類型があります。
指定書には、活動内容や就労先(雇用主)など、個別の条件が定められていることがあります。
例えば、特定技能や特定活動の一部などでは、指定書の記載によって「どの会社で、どのような条件で」活動が認められているかが具体化されます。
ですので、在留カードの表面・裏面だけで完結させず、指定書が付いているかどうかも必ず確認してください。
次からは、ここで確認した「在留資格名」「就労制限の有無」「資格外活動許可の有無と条件」「指定書の有無と内容」を手がかりにして、今回の採用予定業務が可能かどうかを、順番に整理していきます。
さて、ここからは
「今持っている在留資格で、うちの会社の仕事ができるのか?」
を確認していきます。
この確認は、外国人採用の中でも特に重要で、かつ専門性が高いパートです。
なぜなら、在留資格は「働ける/働けない」が単純に決まるものではなく、在留資格の種類ごとに、仕事内容・働き方・条件の縛り方がまったく違うからです。
そこでまず前提として、「在留資格にはどんな種類があるのか」をざっくり掴んでおきましょう。
このあと、企業の現場で特に出てきやすい在留資格をいくつかピックアップして、考え方の軸、チェックポイント、明らかに注意が必要な場面を解説していきます。
在留資格には大きく2つのタイプがあります
在留資格は、大きく分けると次の2タイプがあります。
- 身分系(身分又は地位に基づく在留資格)
-
このタイプは、本人の身分関係などを根拠に在留が許可されるものです。
代表的な在留資格は次のとおりです。
- 日本人の配偶者等
- 永住者
- 永住者の配偶者等
- 定住者
この身分系の在留資格は、原則として就労の制限がありません。
つまり、職種・勤務時間・雇用主の縛りが基本ないため、採用判断は比較的シンプルになります。
在留カードの在留資格欄にこれらが書かれている場合は、原則として「今の在留資格のまま、採用予定の業務に従事してもらってよい」と整理できます。 - 就労系(活動に基づく在留資格)
-
このタイプは、「特定の分野・業務・条件で働いて収入を得る」ことが目的で許可されるものです。
就労系は、分野、業務内容、働き方(勤務時間など)、会社(雇用主)などによって、許可される範囲が限定されます。そのため、就労系の場合は必ず、
「この在留資格の許可内容で、うちの会社の採用予定業務ができるのか?」
を一段丁寧に確認する必要があります。
ここからの解説は「軸」を学ぶためのものです
ここから先は、よくある在留資格をいくつかピックアップして、
そのときの考え方の軸、チェックポイント、明らかにダメになりやすい場面を紹介していきます。
ただし、ここでお伝えするのは、あくまで一次的な判断のための「軸」です。
在留資格の可否はケースバイケースの要素が強く、これだけ見れば誰でも即断できる、という性格のものではありません。
早計に決めつけず、少しでも迷う点があれば、入管(出入国在留管理庁)への確認や、行政書士など専門家への相談も前提にして、慎重に進めてください。
このページではまず、
「今持っている在留資格で、そのまま雇用して採用予定の業務に従事してよいのか」
という一次的な判断に絞って、重要ポイントを整理していきます。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」
在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の場合、そのまま採用できるかどうかは、まず業務内容から考えます。
この在留資格は、大学や専門学校などで学んだ専門分野や、それに相当する実務経験を活かして行う、専門性のある業務が対象です。
いわば、オフィスワーク系の代表的な就労資格のひとつで、例えば留学生が卒業後に企業へ就職する場面などでも、よく出てくる在留資格です。
ここで最初に押さえるべきポイントはシンプルです。
採用予定の業務が、いわゆる単純作業や補助業務が中心になってしまう場合は、この在留資格の活動内容に当てはまりません。
もし単純作業が中心になりそうなら、採用予定の業務の設計を見直す必要があります。
一方で、採用予定の業務が専門性のある内容であれば「技人国だから大丈夫」と言い切れるほど単純でもありません。
在留カードには「技術・人文知識・国際業務」とだけ記載され、どのような仕事内容を前提に許可されたのかまでは書かれていません(指定書も通常はありません)。
そのため実務上は、
前職でどのような業務を行う前提で在留資格が許可されていたのか
を、可能な範囲で確認していくことが大切です。
具体的には、本人へのヒアリングに加えて、前職の雇用契約書、在職(退職)証明書、職務内容が分かる資料、履歴書などを手がかりにします。
そのうえで、前職で許可された業務内容と、今回採用予定の業務内容が、実質的に同じ専門分野・同じ性質の業務だと合理的に説明できるかを確認します。
ここはケースバイケースの色合いが強く、早計な自己判断は禁物です。
判断が難しい場合や、入社後に業務内容が変わる可能性がある場合は、自己判断で進めず、入管への確認や、就労資格証明書の取得を検討することが安全です。
在留資格「留学」
在留資格「留学」は、学校で学ぶための在留資格です。いわゆる留学生が許可される在留資格です。
原則として、働くこと(就労)は許可されていません。
ただし、例外として「資格外活動許可」という特別な許可を受けている場合に限り、一定の時間制限などの条件のもとでアルバイトができます。
ですので、在留カードの表面に「留学」と書いてあった場合は、必ず在留カードの裏面も見て、「資格外活動許可欄」に記載があるかどうかを確認してください。
留学生が「働きたい」と言っている場合、企業側の対応は大きく次の2パターンに分かれます。
1)学校に通いながら、アルバイトとして働く場合(短時間勤務)
アルバイトとして雇用できるのは、在留カード裏面に資格外活動許可の記載がある場合に限られます。
留学生の資格外活動許可には、代表的に次のような時間制限があります。
- 原則として、週28時間以内
- 学校の長期休業期間中は、1日8時間以内(など)
在留カード裏面の資格外活動許可欄には、たとえば「許可:原則週28時間以内」など、条件付きで許可されていることが分かる文言が記載されます。
ここが空欄だったり、許可が確認できない場合は、留学のままアルバイト雇用はできません。
また、許可があって雇用できる場合でも、時間超過が起きやすい点に注意が必要です。留学生が他社でもアルバイトをしていると、本人は悪気がなくても合計時間が上限を超えることがあります。
採用時点で「他のアルバイトの有無・勤務予定」を必ず確認し、勤務シフト管理で上限を超えない運用にしてください。
2)卒業後(または卒業見込み)で、正社員として就職する場合(フルタイム勤務)
留学生から正社員として雇用する場合は、原則として在留資格の変更が必要です。
留学のまま、フルタイムの正社員として働くことはできません(資格外活動許可があっても、想定されているのは短時間のアルバイトです)。
実務上は、職種や本人の学歴・専攻・職歴に応じて、「技術・人文知識・国際業務」など就労系の在留資格への変更が検討されることが多いです。
一方で、業務内容によっては別の在留資格が検討対象になる場合もあります。
この段階は、職種と在留資格の適合性の判断が必要になるため、自己判断で進めず、入管や専門家への確認、必要に応じて就労資格証明書の活用など、慎重な進め方をおすすめします。
在留資格「特定技能」
在留カードの在留資格欄に「特定技能1号」や「特定技能2号」と書かれていると、「うちも同じ業界だし、このまま採用できそう」と感じるかもしれません。
ただ、特定技能は、ここで自己判断をすると事故が起きやすい在留資格です。落ち着いて、確認の順番を押さえましょう。
まず大事なのは、在留カードだけでは「どの分野(特定産業分野)」で働ける特定技能なのかが分からない、という点です。
特定技能は分野ごとに制度設計がされており、例えば農業で許可されている方が、別分野(例:外食など)でそのまま働くことはできません。分野が違えば、手続や要件が変わります。
そのため採用前には、在留カードに加えて、旅券(パスポート)も確認し、パスポートに添付されている指定書がある場合は、その指定書もあわせて確認します。
ここで、少なくとも「どの受入れ機関(勤務先)で、どの分野での就労として扱われるのか」という前提を整理するイメージです。
次に、特定技能は1号・2号いずれも、「特定の受入れ機関(雇用主)で働くこと」を前提として許可される在留資格です。
ですので、応募者がすでに特定技能で就労中の方であっても、勤務先が変わる場合は、原則として手続なしでそのまま雇用開始することはできません。
たとえ同じ分野・同じ仕事内容に見えても、「雇用主が変わる」という点が大きいからです。
また、特定技能2号は、1号と比べて在留が安定しやすく、1号で求められる支援が不要になるなどの違いがあります。
ただし、2号だからといって「雇用主のしばりが消えて、届出だけでOK」と決めつけるのは危険です。2号でも雇用主が変わる場面では手続が絡みますので、必ず入管や専門家に確認しながら進めてください。
特定技能が「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」と大きく違うのは、考え方の軸です。
技人国は「活動内容(どんな専門業務をするか)」を中心に見ますが、特定技能は「分野」と「受入れ機関(雇用主)」が実務上のカギになります。
同じ“就労系”でも、チェックのポイントがズレやすいので注意してください。
そして、特定技能で外国人を受け入れる場合、企業側にも制度上求められる受入れ体制が求められます。
特定技能1号では、外国人が日本で安定して就労・生活できるように、受入れ機関が支援を行うことが制度上求められています。
要件を満たせば自社で支援を実施することもできますが、体制が整わない場合は登録支援機関に委託する形が一般的です。
つまり、雇用条件だけでなく、支援体制も含めて整ってはじめて、特定技能としての手続が進められる、という理解が安全です。
最後に、特定技能から別の在留資格(例:技人国など)へ切り替える可能性があるケースもあります。
ただし、切り替え先の在留資格では、業務の専門性や、学歴・実務経験など、求められる要件が大きく変わります。
「特定技能で来たから、他の就労ビザにも簡単に変えられるはず」と早合点せず、候補者の経歴と採用予定業務の中身を材料にして、慎重に検討してください。
まとめると、特定技能は
- 在留カードだけで完結せず、分野と受入れ機関の前提を確認すること
- 勤務先が変わるなら、原則として入管手続が必要になること
- 1号は支援体制がセットで求められること
この3点をまず押さえるのが、採用判断のスタートラインになります。
在留資格「技能実習」
在留カードの在留資格欄に「技能実習」と書かれていた場合は、他の在留資格とは少し事情が違います。
先に結論をお伝えすると、技能実習のまま、貴社が「転職先」として採用を検討する段階には基本的に入りません。
技能実習は、働くこと自体が目的の在留資格ではありません。制度の趣旨は、一定の実習実施者(受入れ先)・一定の実習内容のもとで、技能等を身につけてもらうことにあります。つまり、「この受入れ先で、この実習を行う」という前提で成り立っている在留資格です。
そのため、技能実習の方が「御社で働きたいです」と求人応募してきたとしても、今持っている在留資格「技能実習」のまま、御社の社員やアルバイトとして雇用することはできない、と考えてください。採用予定の業務に従事させる前提で話を進めるのは危険です。
「では、技能実習から御社で働ける在留資格に変更すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、技能実習は当初の制度趣旨が明確なため、転職前提で安易に在留資格変更を見込むのは適切ではありません。
実務上も、技能実習の在留資格のまま本人が単独で転職活動をしている場合、背景事情が複雑なケースがあり得ます。企業側としては、無理に踏み込まず、慎重に距離を取って対応するのが安全です。
なお、技能実習には「転籍」という仕組みがあり得ますが、これは誰でも自由に転職できる制度ではありません。やむを得ない事情がある場合など、一定の要件と手続のもとで扱われるものです。
したがって、採用判断としては「技能実習のままでは採用できない」を基本姿勢にし、少しでも判断に迷うときは、入管や専門家に確認したうえで進めてください。
在留資格「技能」
在留カードの在留資格欄に「技能」と書かれていたら、まず最初に知っておいてほしいことがあります。
それは、技能ビザは「技能」という一言でまとめられていますが、中身は一種類ではなく、いくつもの活動類型(できる仕事の型)がある、という点です。
技能ビザは、一般的なオフィスワーク向けの在留資格というよりも、特定の分野で長年の経験や高度な熟練がある人が、その技能を活かして働くことを想定した在留資格です。
たとえば、一般の方がイメージしやすい例としては「外国料理の調理師」や「スポーツ指導者」などが挙げられます。
だからこそ、在留資格が「技能」の場合は、次の順番で確認します。
1つ目は、そもそも今回の採用予定業務が、技能ビザのどれかの活動類型に当てはまるのか、です。
まずはここが当てはまらない場合、そもそも今持っている在留資格「技能」のまま、今回の業務をしてもらうことは不可能になります。
例で考えると分かりやすいです。
もし応募者が「技能」で、前職はタイ料理店の調理師だったとします。
この方が「ソフトウェア開発の会社でエンジニアとして働きたいです」と応募してきた場合、在留資格「技能」のまま就労できるとは通常考えにくいです。活動の前提となる技能分野がまったく異なるためです。
一方で、もし御社がタイ料理店で、募集職種もタイ料理の調理師であれば、活動の方向性が一致する可能性が高まります。
ただし、ここでも「技能なら大丈夫」と早計に決めつけないことが大切です。
2つ目は、その方が技能ビザの中でも、どの内容(どの技能)を前提に許可を受けているのか、です。
実は、在留カードの表面に「技能」とだけ書かれていても、どの技能内容で許可を受けているかを在留カードだけで正確に読み取ることはできません。
在留資格は、申請時に提出された職務内容や技能内容を前提に、個別に判断されて許可されています。
そのため実務上は、本人へのヒアリングに加えて、可能な範囲で、これまでの職務内容や技能内容が分かる資料(前職の雇用契約書、在職・退職証明書、履歴書など)を確認し、今回の採用予定業務が「許可された技能内容の範囲内」と合理的に言えるかを見ていきます。
そして、少しでも判断が難しい場合は、自己判断で進めないでください。
入管への確認や、就労資格証明書の取得を検討するなど、安全側の手続を選ぶことが実務的には安心です。
まとめると、在留資格が「技能」のときは、
今回の仕事が技能ビザのどれかの類型に当てはまるか、そして当てはまるとしても、その方の許可内容と一致しているか、という二段階で慎重に確認する、というのが基本の考え方になります。
在留資格「高度専門職」
在留カードの在留資格欄に「高度専門職」と書かれていたら、まず最初に知っておきたいことがあります。
高度専門職は、いわゆる「ハイスペック人材向け」の在留資格で、学歴・職歴・年収・研究実績・日本語能力などをポイントで評価し、合計が一定点数以上(一般に70点以上)になると認められる仕組みです。
そして、高度専門職は大きく分けて「高度専門職1号」と「高度専門職2号」があり、さらに1号は「イ・ロ・ハ」という活動類型に分かれています。ここが、最初に混乱しやすいポイントです。
結論から言うと、採用判断で一番重要なのは次の2点です。
- 在留カードに「1号」と書かれているのか、「2号」と書かれているのか
- 転職(勤務先の変更)を伴うのかどうか
以下、基本の考え方をやさしく整理します。
1)在留資格が「高度専門職1号」と書かれている場合
高度専門職1号は、原則として「勤務先(所属機関)を前提に」許可が出ているタイプです。
つまり、応募者が今の会社で高度専門職1号として働いていて、あなたの会社に転職して働くのであれば、そのままの在留資格で働き始められるわけではありません。
この場合の企業側の基本スタンスはシンプルです。
今の在留資格(高度専門職1号)のまま、すぐに雇用して働かせることはできない前提で、入社に向けた在留資格の手続が必要になります。
ここで大事なのは、「高度専門職1号として、引き続き認められる見込みがあるか」です。
高度専門職はポイント制なので、転職後の勤務先や業務内容、年収などの条件によっては、引き続き70点以上を満たせる場合もあります。
一方で、転職先の条件だとポイントが下がってしまい、高度専門職としては認められず、別の就労資格(例:技術・人文知識・国際業務など)での検討が必要になることもあります。
この「高度専門職でいける/いけない」は、本人にとっても非常に重要な問題です。
高度専門職は、他の就労資格より優遇措置が多く、例えば配偶者の就労の扱いが広がったり、一定条件で親の帯同や家事使用人が認められるなど、生活面のメリットもあります。
本人が「高度専門職のまま働きたい」と強く希望しているケースも少なくありません。
そのため、採用を進めるなら、早い段階で次の確認をおすすめします。
- 本人が「高度専門職のまま」を希望しているか(希望の確認)
- あなたの会社の雇用条件で、ポイント要件を満たせそうか(見込みの確認)
- 必要な手続の全体像(入社時期に間に合うか、書類は揃うか)
ポイント計算や見込み判断は、社内だけで断定しようとせず、入管や専門家に確認しながら進めるほうが安全です。
入社直前に「高度専門職が取れませんでした」となると、本人も企業もスケジュールが崩れ、トラブルの火種になりやすいからです。
2)在留資格が「高度専門職2号」と書かれている場合
高度専門職2号は、1号よりも在留が安定し、活動の幅も広いタイプです。
一般的には、高度専門職1号として一定期間(例:3年以上)在留した人が移行できる仕組みです。
採用実務の目線では、高度専門職2号は「勤務先が変わっても、直ちに在留資格変更が必要とは限らない」ケースが多い点が特徴です。
前職で許可されていた活動と同じ範囲の業務で採用するのであれば、在留資格変更許可申請をしなくてもよい可能性があります。
ただし、ここで気をつけたいのは、業務内容のズレです。
高度専門職2号であっても、何をしてもよいという意味ではありません。前職と大きく異なる仕事内容にすると、手続が必要になる場合や、別の整理が必要になる場合があります。
ですので、高度専門職2号の場合は、次の考え方が現実的です。
- 前職と同じ方向性の専門業務として雇うなら、変更申請が不要な可能性が高い
- ただし、業務内容が変わると判断が変わり得るので、入管や専門家に確認してから確定する
まとめ:高度専門職を見たときの、企業の動き方
高度専門職は、応募者のスペックが高く、企業側にとっても採用価値が高いことが多い一方で、転職時の手続の考え方が少し独特です。
まずは在留カードで「1号か2号か」を確認し、
- 1号なら「転職=手続が必要」を前提に、ポイント維持の見込み確認へ
- 2号なら「業務内容が同じ範囲か」を前提に、必要手続の有無を確認へ
この順番で整理すると、混乱しにくくなります。
そして最後に、共通して大切なのは、自己判断で断定しないことです。
高度専門職はポイントや活動内容の整理が絡むため、入社時期が決まる前に、入管や専門家へ確認しておくことが、いちばんのリスク対策になります。
在留資格「企業内転勤」
在留カードに「企業内転勤」と書かれていたら、まず知っておきたいことがあります。
結論から言うと、そのままの在留資格のまま、あなたの会社(別グループの会社)で雇用することはできません。
採用するには、原則として在留資格の変更手続が必要になります。
そもそも「企業内転勤」は、どんな在留資格なのか
「企業内転勤」は、海外にある会社(またはそのグループ会社)で一定期間働いていた人が、グループ内の日本の事業所へ“転勤”して働くための在留資格です。
つまり、最初から「グループ企業内の異動(転勤)」という前提つきで認められている在留資格です。
ここがポイントで、いわゆる一般的な転職ビザではありません。
そのため、まったく別の会社に「転職したいです」と応募してくるケースは、制度の前提から外れやすい、ということになります。
「企業内転勤」のまま、採用してよいか
採用してよいかの判断はシンプルです。
今持っている在留資格「企業内転勤」のままでは、あなたの会社で就労させることはできません。
採用するのであれば、原則として、仕事内容に合った別の就労系の在留資格へ変更(在留資格変更許可申請)を検討することになります。
採用判断の軸とチェックポイント
ここからは、人事担当者が最低限おさえるべき「判断の軸」です。
- (1) なぜ応募してきたのか、事情を丁寧に確認する
-
企業内転勤は「グループ内の転勤」を前提としているため、本人がなぜ転職を希望しているのかは、必ず確認してください。
ここは詮索ではなく、採用可否の現実的な見極めのためです。
事情によっては、本人が想定している働き方が在留資格の制度と合わない可能性があります。 - (2) 予定している仕事内容は、別の就労系在留資格に当てはまりそうか
-
次に、あなたの会社で予定している仕事内容が、別の就労系在留資格(例:技術・人文知識・国際業務など)の枠組みに当てはまりそうかを確認します。
ここが当てはまらなければ、在留資格を変更しての採用自体が難しくなります。 - (3) 本人側の要件を満たせそうか
-
在留資格の変更では、仕事内容だけではなく、本人の学歴・職歴・実務経験なども含めて審査されます。
本人が「転職したい」と言っていても、制度上の要件が揃わなければ、在留資格変更が通りません。 - (4) 審査が慎重になり得る前提を理解しておく
-
企業内転勤は「計画的な転勤」という前提で来日しているため、そこからの転職(在留資格変更)は、ケースによって審査が慎重になり得ます。形式上の可能性があるかどうかと、実務上スムーズに進むかどうかは別、というイメージを持っておくと安全です。
実務の進め方(安全な段取り)
- 内定を急ぎすぎず、まず本人の経歴と職務内容を整理する
- あなたの会社の予定業務が、どの在留資格に当てはまるかを整理する
- そのうえで、入管(出入国在留管理官署)や専門家に早めに確認し、在留資格変更の見通しを立てる
企業内転勤の方は、経歴がしっかりしているケースも多い一方で、「今の在留資格のまま雇える」と早合点すると、入社時期や手続でつまずきやすい類型です。
採用判断は、在留資格変更の見通しを立ててから進めるのが安全です。
在留資格「家族滞在」
在留カードの在留資格に「家族滞在」と書かれていたら、まず押さえるべき結論があります。
家族滞在は、「働くための在留資格」ではありません。
就労ビザ等で在留している外国人の配偶者や子どもが、日本で一緒に暮らすために許可される在留資格です。
そのため、原則として、家族滞在のままでは働けません。
ただし、ここが重要ポイントです。
家族滞在の方でも、資格外活動許可(包括許可)を受けていれば、一定の制限の範囲内でアルバイト等の就労ができます。
まずやることはシンプルです。
在留カードの裏面を見て、「資格外活動許可欄」に許可の記載があるかを確認してください。
ここに許可が出ている旨が書かれていれば、就労できる可能性が出てきます(もちろん制限付きです)。
次に見るべきなのが「時間制限」です。
家族滞在の資格外活動許可(包括許可)は、原則として週28時間以内という上限が設けられています。
ここで注意したいのは、「あなたの会社での勤務時間」だけではないことです。
本人が他のアルバイト先でも働いている場合、その勤務時間も合算して週28時間以内でなければなりません。
つまり、採用実務としては次のような確認が必要になります。
- 資格外活動許可(包括許可)の記載があるか(在留カード裏面)
- 週28時間以内に収まるか(他社での勤務も含めて合算)
- 勤務予定の仕事内容が、制限のある業種に当たらないか
最後の「業種」の話も、とても大切です。
資格外活動許可(包括許可)があっても、どんな仕事でも自由にできるわけではありません。
代表的なのが「風俗営業等」に当たる業務です。これらは原則として認められません。
ここでいう「風俗営業等」は、いわゆる“夜のお店”だけを指すわけではありません。
身近な例として、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター等が含まれるケースがあります。
求人内容や店舗形態によって判断が分かれることもあるため、「うちは普通の接客だから大丈夫」と自己判断で進めないことが安全です。
まとめると、家族滞在の方を採用できるかどうかは、
- 「資格外活動許可(包括許可)があるか」
- 「週28時間以内(他社分も合算)に収まるか」
- 「仕事内容が制限対象(風俗営業等)に当たらないか」
この3点でほぼ決まります。
少しでも曖昧な点がある場合は、採用を進める前に、入管への確認や専門家への相談を挟むことをおすすめします。
採用後に「実は働けなかった」「時間制限を超えていた」となると、企業側も本人側も困ってしまうためです。
====
ここまで、在留カードに書かれている在留資格の種類ごとに、「このまま雇用してよいのか」「何か手続きが必要なのか」を判断するための“考え方の軸”と“チェックポイント”を見てきました。
このパートで、いちばん大切なことを改めて整理します。
企業がやるべき基本は、とてもシンプルです。
- 在留カードを確認し
- 合理的な範囲で
- 許可された活動の範囲内かを確認する
これを丁寧に積み重ねていくことです。
ポイントは次の4つです。
- 1)見える情報をきちんと見る
-
在留カードの表面・裏面を含め、就労に関係する記載を一通り確認します。期限や就労制限、資格外活動許可の有無など、「書いてあること」をまず落ち着いて確認します。
- 2)聞ける範囲で聞く
-
ご本人の説明も大切な材料です。仕事内容のイメージ、これまでの経歴、現在の勤務状況(すでに別の勤務先があるか)など、採用判断に必要な範囲で確認します。
- 3)出せる範囲で出してもらう
-
判断に必要な範囲で、提示できる資料があれば見せてもらいます。たとえば、雇用契約書の写し、職務内容が分かる資料、(該当する場合は)就労資格証明書などです。無理に出させるのではなく、「もし可能なら」で十分です。
- 4)その時点での合理的判断の根拠を残す
-
誰が、いつ、何を確認し、どう判断したのか。社内メモやチェックシートに残しておくと、後から見返したときに「なぜその判断をしたのか」が説明しやすくなります。
企業に求められるのは、在留カードをきちんと確認し、ご本人の説明と、提示できる範囲の資料を照らし合わせて、合理的に判断することです。
一方で、少しでも疑問が残るのに「たぶん大丈夫」で進めてしまうのは避けたいところです。
完全に“真実をすべて見抜く”ことまでを企業に求めるのは現実的ではありません。
ただし、次のように「引っかかり」がある場合は、確認を弱めてはいけません。
こんな時は、確認を強めた方がいいです。
- 本人の説明があいまい、あるいは話が途中で変わる、矛盾する
- 予定している職務内容が、在留資格のイメージと明らかにズレる
- 見せたがらない、出せない理由が不自然に感じる
- 在留期限がギリギリで、入社時期と重なりそう
- 書類の説明がつかず、「何となく不安」が残る
こういう場合は、自己判断で進めず、入管への確認や、就労資格証明書の取得を検討するなど、ワンクッション置くことをおすすめします。
そして、実務的に“確認精度”をぐっと上げる強い方法がひとつあります。
それが、今の在留資格を申請したときの申請書類(控え)を見せてもらうことです。
どんな仕事をする前提で申請し、どんな活動が許可されたのか。
このポイントは、在留カードの表面だけでは細かく読み取れない場合があります。
ところが、申請書類の控えがあると、当時の職務内容や説明がまとまっているため、「いま予定している仕事と整合しているか」を確認しやすくなります。
また、入社後はいずれ更新申請が来ます。
そのときに見られやすいのが、「前回申請した内容」と「今回申請する内容」のつながり(整合性)です。
だからこそ、前回の申請内容を把握しておくことは、採用時点の安全性を高めるだけでなく、将来の更新・変更の見通しを立てるうえでも役立ちます。
申請書類の作り方・保管状況は人によって様々です。
- 行政書士に依頼して作成・申請した
- 前職の会社が申請をサポートした
- 本人が自分で申請した
どのケースでも、手元に控えやデータが残っていることは珍しくありません。
もちろん、申請書類の提示は、あくまで本人の同意が前提です。
強制したり、「出さないなら不採用」などと機械的に迫ったりするのは避けてください。
ただ、判断が難しいときほど、「もし可能なら、前回の申請の控えはお持ちですか」と丁寧に聞いてみる価値はあります。
もし、どうしても手元に記録がなく、確認が難しい場合には、行政に対して情報の開示請求を行い、認められれば開示を受けられる制度があります。
ここもやはり本人の同意を前提に、必要性と負担を説明したうえで、検討するのがよいでしょう。
====
ここまで、在留カードに書かれている在留資格ごとに「このまま雇用してよいのか」「何か対応が必要なのか」を判断するための、基本的な考え方の軸とチェックポイントを説明してきました。
ただ、最後はどうしても「個別事情次第」になります。
在留資格は、書類に書かれた文字だけで白黒がつくものばかりではなく、本人の経歴、実際の職務内容、会社の受入れ体制、過去の申請内容など、複数の情報を合わせて総合的に判断されます。
最終的に許可・不許可を判断するのは、行政書士でも、人材会社でもなく、入管(出入国在留管理庁)です。
だからこそ、迷ったときは「入管に確認する」という発想を持ってください。
会社として求められるのは、次のような姿勢です。
- 在留カードを確認し、合理的な範囲で、許可された活動の範囲内かを確認する
- 見える情報をきちんと見る
- 聞ける範囲で聞く
- 出せる範囲で出してもらう
- その時点での合理的判断の根拠を残す
完璧に真実を追い切ることは現実的に難しい場面もありますが、「気になる点があるのに、確認せずに進める」ことは避けるべきです。少しでも違和感があるときほど、確認の強度を上げるのが安全です。
こんなときは、確認を強めた方がよいサインです
- 本人の説明があいまい、質問に対して答えがブレる、言っていることが矛盾する
- 採用予定の職務内容が、在留資格のイメージと明らかにズレる
- 見せるのが自然な書類を見せたがらない、出せない理由が不自然
- 在留期限がギリギリで、手続の時間的余裕がない
- 「何となく大丈夫そう」で進めるには、不安材料が残る
こうしたときは、自己判断で結論を出さず、入管への相談や、後述する就労資格証明書の活用を検討してください。
入管の相談窓口(電話・メール・対面)を使う
入管には、在留資格に関する相談窓口が用意されています。相談方法は大きく分けて次の3つです。
- 電話
- メール
- 対面(窓口での相談)
ただし先に大事な注意点をお伝えします。
これらの相談は「個別具体的な決定(このケースは絶対にOK/NG)」をその場で確約してくれるものではありません。
あくまで、一般論としての説明、制度の案内、考え方の方向づけ(ナビゲーション)が中心になります。
それでも、迷いがある段階で「制度上の前提を間違えない」ためには、とても役に立ちます。
- (1)電話で相談する
-
電話相談には、代表的に次のような窓口があります。
- 在留総合インフォメーションセンター(全国共通の案内窓口)
- 各地方出入国在留管理局(または支局・出張所)の担当窓口
- 外国人雇用サービスセンター(雇用分野に特化した相談窓口)
電話相談のイメージとしては、
「何が論点になるのか」「どんな資料が判断材料になり得るのか」「次に何を確認すればよいか」
を整理するのに向いています。実務上のコツ
- 質問は、短く、論点を絞って伝える(結論を求めすぎず、確認すべきポイントを聞く)
- 在留資格名、在留期限、予定職務内容(できるだけ具体的に)を手元に用意する
- 電話は混み合うことがあるので、時間に余裕があるときにかける
また、全国共通の案内窓口が混み合うときは、管轄の入管の担当窓口に相談するという考え方もあります。
ホームページ上で各入管の連絡先が公表されているため、状況によって使い分けるとよいでしょう。
- (2)メールで相談する
-
入管は、内容によってはメールでの問い合わせ窓口を設けています。
メールは「文章で状況を整理して送れる」というメリットがあります。
一方で、返答まで時間がかかる場合があること、回答が一般論の範囲にとどまりやすいことは想定しておくとよいです。
実務上のコツ
- 事実関係(在留資格名、予定職務、いつから雇用予定か)を箇条書きで整理する
- 結論の断定を求めるより、「確認すべきポイント」「必要書類の考え方」を尋ねる
- (3)対面(窓口)で相談する
-
入管の窓口で、対面で相談する方法もあります。
ただし、窓口は申請対応が中心で混雑することも多く、待ち時間が長くなる場合があります。
訪問前に、相談を受け付けているか、受付時間や運用(予約の要否など)を確認した方が安全です。
一般相談では「決めてもらえない」こともある
ここまでの電話・メール・対面の相談は、とても有益ですが、繰り返しになりますが「個別具体的な確約」を得るための仕組みではありません。
決定的な判断は、書類を正式に提出し、入管が内容を審査したうえで示されるものだからです。
そこで、より確実に確認したいときに検討できるのが、次の制度です。
就労資格証明書という「文書で確認できる制度」
就労資格証明書は、
「いま持っている在留資格で、予定している業務に従事できるのか」
を入管が審査し、その判断を文書で示してくれる制度です。
ここがポイントです
- 新しい在留資格を“取得する”手続ではありません
- いまの在留資格の活動範囲に、予定業務が入るかどうかを確認するための制度です
- 採用後のトラブル予防(会社側・本人側の双方)に役立つ場面があります
「このまま雇用してよいか」の判断が難しいとき、就労資格証明書は、実務上かなり強い確認方法になり得ます。
ただし、注意もあります。
就労資格証明書は便利な一方で、すべてのケースで必須というわけではありません。
明らかに活動範囲が一致していて合理的に判断できる場面でまで、過度に取得を迫ると、採用実務として不適切になり得ます。
取得を検討するときは、本人の理解と協力(同意)を前提に、必要性がある場面で丁寧に説明しながら進めるのが基本です。
====
ここまで、在留カードの見方や、在留資格ごとの「判断の軸」と「チェックポイント」、さらに入管への相談や就労資格証明書など、いろいろな確認方法を紹介してきました。
そして、慎重に確認した結果、「今持っている在留資格のまま採用しても大丈夫そうだ」と判断できたとしても、ここで終わりではありません。
入社(就職)という出来事には、法律上の届出がセットになっていることが多いからです。
「採用できるかどうか」だけでなく、「採用した後にやるべきこと」までを、ぜひ押さえておいてください。
外国人本人が入管へ届け出る義務があります(勤務先が変わったとき)
就労系の在留資格で働いている外国人は、勤務先(所属機関)が変わった場合、本人が入管へ届け出る義務があります。
ここで大事なのは、これは会社が代わりに勝手に出すものではなく、原則として本人の義務だという点です。
ただし、企業としても「届出が必要なこと」を案内し、本人が忘れないようにリマインドすることは、とても実務的に重要です。
一般に、この届出は「所属機関に関する届出」などと呼ばれます。
提出期限は「変更があった日から14日以内」とされていることが多いので、入社日が決まったら早めに案内しておくのがおすすめです。
届出の方法は、主に次のようなものがあります。
- オンライン(入管の電子届出の仕組みを使う)
- 入管へ郵送する
- 入管の窓口へ持参する
もしこの届出を怠ると、罰則(罰金)が定められているため注意が必要です。
また、届出の不履行は、将来の更新申請などで「きちんとルールを守って生活してきたか」という観点からマイナスに見られる可能性もあります。
採用後のトラブルを避けるためにも、入社時の手続きとしてセットで案内しておくのが安全です。
2. 企業がハローワークへ届け出る義務があります(外国人雇用状況の届出)
もう一つ、企業側にも届出義務があります。
それが、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」です。
これは「外国人を雇い入れた(または離職した)」ことを、企業がハローワークへ届け出る制度です。
ここで、担当者が混乱しやすいポイントが一つあります。
雇用保険に加入する働き方かどうかで、届出の出し方と期限が変わる点です。
- (1)雇用保険に加入する働き方の場合(正社員など)
-
この場合は、雇用保険の手続き(資格取得届など)を行うことで、外国人雇用状況の届出も兼ねる形になります。
つまり、「雇用保険の加入手続きをきちんとやる」ことが、そのまま届出にもつながります。 - (2)雇用保険に加入しない働き方の場合(短時間アルバイトなど)
-
この場合は、雇用保険の手続きでは届出が完結しません。
そのため、外国人雇用状況の届出を、この届出のために別途行う必要があります。
提出期限は「翌月の末日まで」など、雇用保険加入の場合と扱いが異なるため、採用時に必ず確認しておきましょう。
この届出も、怠った場合の罰則(罰金)が定められています。
さらに、こうした公的な義務を日常的にきちんと守れているかは、社内のコンプライアンスの評価だけでなく、外国人本人の将来の在留手続きにも間接的に影響する可能性があります。
3.変更申請で入社した場合でも、届出は別ものなので必要です
「在留資格の変更申請をして、許可が出てから入社しました」というケースでも、ここで紹介した届出が自動的に全部完了するとは限りません。
在留手続き(変更・更新)と、届出(勤務先変更の届出、ハローワークの届出)は、役割が別だからです。
採用の最終局面では、つい「許可が出たからこれで完了」と思いがちですが、
実務としては、入社後の届出までを含めて、はじめて安全運転になります。
まとめると、
- 本人の入管への届出(勤務先変更)
- 会社のハローワークへの届出(外国人雇用状況)
この2つは、「採用できるかどうか」と並ぶくらい大事な、採用後の基本動作です。
そして何より、これはれっきとした公的な義務です。
うっかり忘れが起きやすい部分なので、入社手続きチェックリストに最初から組み込んでおくことを強くおすすめします。
