送出し国現地の働き方を知ろうシリーズ。
今回は、中国現地の労働法や就労文化をみていきましょう。
元々、日本での就労者人口の一位をずっとキープしていましたが、最近はベトナムに抜かれました。
しかし、相変わらず日本にいる中国人就労者は非常に多いです。
特徴としては、以下になります。
中国の就労文化の特徴
・割増賃金の割増率が日本よりかなり多い
・残った有給休暇の買取り義務がある
・給料から天引きされる「住宅積立金」というものがある
それでは、みていきましょう。
中国現地の会社が従業員を雇用するとき
学歴や犯罪歴の有無をネット上で確認できる
例えば、自分の会社に、働きたいという求人応募者がきたとします。
履歴書に記載されている内容が本当なのか?華麗な学歴が書いてあるが本当なのか?実は犯罪歴があったりしないか?
実のところ気になることがあるでしょう。
日本では、個人情報保護がしっかりされていますので、そういった情報を確認することは難しいですが…。
中国は、管理社会。なんと、学歴や犯罪歴の有無は、ネット上で検索できるサイトというのが公にあり、容易に確認できるのです。
中国では、働きたいという求人応募者は、まず上記のようなサイトで履歴書の記載の学歴の内容などを確認することになります。
日本では個人情報保護として真っ先に守られてる部分です。中国ならではですね…
雇用期間
雇用期間については、日本と同様、契約期間が定まっているものだったり、正社員雇用だったりと色々パターンがありますが…。
下記のケースになると、無期雇用の契約を締結するよう義務付けられています。
無期雇用の契約を締結しなければならないパターン(主なもの)
・連続で10年間勤務し続けている場合
・期限付きの雇用契約が2回終了した後、また雇用契約を結ぶ場合
・雇用関係が成立しているのに1年以内に書面で労働契約を締結していない
最低賃金は毎年10%ほど上昇し続けている
労働者の平均賃金も上昇傾向
中国政府は高い経済成長目標の計画を掲げており、それに基づく形で最低賃金は毎年10%くらい上昇し続けています。
労働者の平均賃金も上昇傾向にあります。
そういうこともあり、日本に出稼ぎに来なければならないような層というのは減少傾向にあるでしょう。
ベトナム人就労者の人口に抜かれたのは、上記のような要員もあるのではないでしょうか。
元々、日本で働く外国人就労者人口は中国がトップでしたが、近年は増加率が鈍化。ベトナムに抜かれました。こういったことも背景になるのかもしれませんね。
中国の労働法制:働き方
労働時間
法定の標準労働時間は、1日8時間、週40時間以内。これは日本と同様ですね。
残業時間
残業時間は、原則的には、1日1時間の残業が限度とされています。
例外的に、労働者を保護する所定の措置を取っている場合は、1日3時間まで残業をさせることができます。
その例外的な場合でも、月にすると可能なのは36時間となっています。
割増賃金の割増率が高い
さあ、ここが日本との違いの特徴的なポイントであります。
残業したときの「割増賃金」についてです。
下記のようになっています。
中国の労働法:残業したときの割増賃金
・通常の残業時間:150%
・休日出勤:200%
・法定休暇日・祝祭日:300%
通常の残業時間で、なんと1.5倍も給料が多くなります。
また、休日出勤したら、2倍。
さらに、法定休暇日や祝祭日に出勤したら、3倍のお給料になるのです。
中国現地で働いたときの割増賃金は、非常に高いんですね。
ここは、日本と大きく異なるポイントです。
例えば、中国人の技能実習生など、残業した分給料をより多くもらえることを期待して頑張っている実習生も多いことでしょう。
もしかすると、中国のように1.5倍、2倍、3倍という感覚でいる実習生もいるかもしれません。
そんな実習生たちにすると、日本は割増率が非常に少ないなとがっかりしているかもしれません。
まあ、日本はそのような労働法だから仕方がないことですが…。
そんな中国現地の労働法も理解して、彼ら彼女たちの立場にたった物の言い方で接することで、実習生たちも理解されている安心感が増すでしょうし、会社に対する親近感を持ってくれて、モチベーション高く仕事に励んでくれることにつながるでしょう。
おそらく実習生の場合、入国前・入国後講習などで日本の割増賃金の率についての知識には触れるでしょうが、中国と大きく異なる点。念を入れて実習生に説明していきましょう。
休日
法定休日としては、週に最低1日は休日として保証して付与する必要があるとされています。
この日に勤務すると、先述のように、給料が通常の3倍になるということですね。
有給休暇
有給休暇は、日本と同様に、入社して勤務開始後1年経過したら付与されますが…。
この点は、日本より少ないです。
勤務開始後1年経過して付与される休日は、5日です。
有給休暇は、1年ずつ所定の有給休暇の日数が付与されていくわけですが、その付与される日数は勤続年数により、下記のように増えていきます。
中国の労働法:有給休暇付与日数
・1〜9年勤務している者:5日付与
・10〜19年勤務している者:10日付与
・20年以上勤務している者:15日付与
※1年ずつ上記の勤続年数により付与されていく
有給休暇の買取義務
会社は、有給休暇を1年以内に全て消化できるようにしなければならない、とされています。(原則)
もし、有給休暇が残った場合、会社は有給休暇を買い取る義務があります。
その残った有給休暇をいくらで買い取るのかというと…。
1日あたりの賃金の3倍で買い取る必要があるのです。
日本は普通に1日の賃金と同等額で買い取りますよね。
ここも、日本との大きな違いのポイントですね。
実習生などで、有給休暇を使おうとしない実習生をたまに見かけます。
なぜか?と問うてみると、最後まで大切に残して、帰国するときに会社に買い取ってもらってお金にすることを期待している実習生も少なくないのです。
中国人の実習生は、特に、上記のように、かなり割増で買い取ってくれることを期待している実習生もいるかもしれません。
上記の点を踏まえながら、日本の有給休暇の取り扱い方などを念入りに説明して理解してもらっておく必要があるでしょう。
有給休暇を買い取ることは日本では当たり前というわけではありませんね。中国人の就労者はもしかしたらそういったことを期待して有給休暇を大事に残そうとする人もいるかもしれません。念を入れて説明して理解してもらいましょう。
給料から天引きされる社会保障制度について
続いて、社会保障制度です。
中国の労働者の給料から天引きされる社会保障制度は、下記のようになっています。
中国の労働法:社会保障制度
・基本医療保険(日本でいう健康保険)
・基本養老保険(日本でいう年金)
・労災保険
・失業保険
・出産育児保険
・住宅積立金
「住宅積立金」というものが、中国の独特のものかもしれません。
賃金から天引きされ、これを原資に住宅を取得しようというものです。
中国の労働法制:労働者保護が手厚い
中国の労働法は、労働者の保護が手厚い法制になっています。
解雇
会社が労働者を解雇しようとするとき。
その解雇できる理由は、限定的です。
限られた理由でしか、解雇することができません。
つまり、曖昧な理由ではダメということになっています。
競業避止契約
競業避止契約は、高い役職の管理職や技術職、また、秘密保持責任の任務についていた社員だけと締結することができます。
競業避止契約の期間は、2年間と期間制限が定められています。
競業避止契約を締結した従業員は、退職したら、その2年間の間いわば就業を制限されたような形になるわけですが、従業員はその分の保証金を請求することができます。
ここも、日本と異なる点ですね。
※上記のブログは、下記のサイトの参照をもとに書かせていただきました。
▷https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/hr-data/jp/about-labor/china/
▷https://www.attax.co.jp/cbc/basic/post-7695/