外国人職員の母国の現地の働き方の文化を知ろうシリーズ。今回はモンゴルです。
モンゴルといえば、東京の両国にいくとモンゴル人の力士の方達をたくさん見かけます。
両国国技館があって相撲の聖地ですから。
両国のコンビニに立ち寄ったとき、力士が漫画を立ち読みしてて、他の街ではなかなか見られない光景だなと思ったものです(笑)。
さて、今回はモンゴル現地の就労文化を見ていくわけですが、モンゴルの労働法は、日本よりも労働者保護が厚い内容になっていると思います。
このように外国人職員の母国の働き方の文化を知る意義というのは、日本の就労文化は決してグローバルスタンダードではない、ということを、外国人職員を雇用されている法人様に知っていただきたいのです。
逆に、日本の就労文化は、世界的な基準からすると、かなり変わっています。
グローバルスタンダードの全て真逆をいっているといっても過言ではないくらいです。
一言でいえば、企業優位の内容になっていると思います。
昨今、日本の労働基準法も労働者優位の内容になってきたといわれていますが、このような様々な他国の労働法や就労文化を知ると、まだまだ企業優位な色が強いなと感じています。
このコラムで感じていただきたいのは、日本からやってきて働いている外国人職員は政界的な基準からするとかなり変わった文化である日本の就労文化に合わせてくれている、という認識を持っていただきたいのです。
そのような認識を持って、日頃のモンゴル人の職員に対する対応をひとつ変えることで、色々な面がより良い方向に変わっていくと思うのです。
それでは、モンゴルの就労文化を見ていきましょう。
会社が労働者を雇用するとき
求人の記載内容
モンゴル現地で求人を出す場合、日本では年齢制限や男女を別した求人を出すことは原則的に禁止されていますが、モンゴルでは禁止されていません。
普通に、「~歳まで募集」とか「女性募集」とかの広告を見かけます。
雇用契約は正社員契約が普通
モンゴルで労働者が企業と雇用契約を交わす場合は、通常、期間の定めのない正社員契約をします。
有期契約をする場合は、よっぽどの特別な理由を必要とされています。
日本では、有期契約から正社員に上がらせると企業が助成金をもらえる関係上、有期契約をまず結ぶ企業も多いですが、モンゴル人にとっては普通正社員契約を結ぶことが多いので、モンゴル人からすると魅力的に見劣りしてしまうかもしれません。
定年は60歳以下はダメ
モンゴルでは、定年を設けるのであれば60歳での定年制であれば許可されています。
それ以下での年齢で定年制を設けることはできません。
転職・副業・競業避止義務について
転職することが普通
モンゴルでは、労働者にとって少しでもより良い好条件の職務や職位や給与内容の求人があれば、あっさりとすぐに転職することが多いです。
いわば、転職することが普通の文化ともいえるでしょう。
一方的な申し出で退職できる
所属している企業の退職は、労働者の一方的な申し出であっさり解除を行えるとされています。
まあ、その場合でも、離職する30日前までには申し出る必要があるとされていますので、この点は日本とそんなに変わりがないところでしょう。
労働者の一方的な申し出によって解除ができるのは、たとえ有期契約においても同じです。
そんな日本のように退職理由についてクローズアップしてああだこうだということにはならない文化。
労働者が「退職します」といえば、より良い求人のところにいくんだなと企業もあっさり了承する文化なのです。
したがって、企業の納得できる退職理由でないと辞めにくいというような文化では決してないので、そこはモンゴル人にとっても日本の就労文化は違和感を覚えるところかもしれません。
解雇には特別な理由が必要
逆に、事業主から労働者を解雇しようとするときは、一方的には解除ができません。
特別な理由が必要であるとされています。
労働者は兼業するのが普通
モンゴルの就労文化は、労働者が兼業(副業)することは至って普通であります。
労働者は、複数の会社と並行して労働契約を結ぶことが出来ます。
たとえ、会社が労働者に対して「兼業(副業)を禁止とする!」と禁止令を出したとしても、その命令に労働者は決して拘束されることはありません。
労働者は、兼業しようとするとき、会社に通知はしなければならないことにはなっています。
ただ、一方的に通知するだけでかまいません。
そこに会社の承諾などは必要ないということです。
ただし、その会社と競合する仕事をしようとするときは、承諾が必要にはなります。
競業避止期間は補償金を支払う義務
モンゴルでも、日本と同様に、会社が労働者に対して退職後の一定期間は競合する仕事を行わないという条件をつけられることになっています。
ただし、その期間については、1年間限定と期限が法定されています。
さらに、その競合の仕事を行わないとした期間中は、労働者の自由を奪っていることになるので、会社は労働者に対して就業中の時の賃金の半分以上の補償金を支払わなければならないことになっています。
このように、競業避止義務を課す期間中に補償金を支払う法律というのは、モンゴル以外の国でもあります。
雇用契約書の記載内容以外はやらない
日本の就労文化は世界的基準と真逆
他国の就労文化を色々眺めていると、雇用契約書に書かれている内容以外のことは一切しない文化の国を多くみかけます。
逆に、それがグローバルスタンダードのようです。
日本では、雇用契約書に書かれていないことでも、いったん会社に入ったのであれば全てを会社に従属すべきだという考え方ですが、日本以外の国ではその点の価値観が全く異なります。
雇用契約書記載以外の業務はやらない
モンゴルでも、雇用契約書に記載されている業務内容以外のことは原則やらない文化というか、法制的にそのような趣旨になっています。
もし、雇用契約書の記載以外の業務を労働者にやらせたら、そのやらせてる時間は、通常に時給に割増賃金を支払うことになっています。
また、雇用契約書の記載以外の業務に配置転換させることは非常に困難なことであります。
モンゴル人と雇用契約を結ぶ場合は、上記の点に十分に留意しながら、会社は十分に説明して具体的に業務内容をイメージし合う必要があるでしょう。
労働時間・休日・福祉厚生
法定労働時間
労働時間は、原則、1日8時間、週40時間までとされています。
残業
時間外労働に対する割増賃金は、日本よりも高く設定されています。
残業時間は、1日4時間以内を限度とされています。
残業時間も含めた1週間の労働時間の上限は56時間以内とされています。
深夜労働時間帯は、22時から6時までの時間帯とされています。
前日の勤務終了の時刻から、当日の勤務開始の時刻までは、休憩時間を12時間以上与える必要があります。
休日
法定休日は、土曜日と日曜日と定められています。
公休日は、1年間のうちで10日あります。
有給休暇
有給休暇は、1年で15日付与されます。
日本よりも多いですね。
給料は月2回以上支払う義務
給料は、月2回以上支払わなければならないことになっています。
社会保険料
社会保険料は、給料から天引きされます。
労働者保護が厚い法制度
子供がいる労働者に配慮した法制
モンゴルの労働法は、労働者が子供がいる場合に、その労働者に対して非常に配慮した法制度になっています。
子供がいる労働者に残業等させたらダメ
労働者に一定の年齢未満の子供がいる場合、会社は、その労働者を解雇したり残業・深夜労働・出張などをさせることは原則禁止されています。
妊娠出産休暇は120日、日本よりも長いです。
※下記のサイトを参照して、分かりやすく簡単に解説しました。
▷https://s80e66630bb8513e7.jimcontent.com › name
▷https://www.taisho-law.com/モンゴル法資料/2021-10-29-労働法セミナーレジュメ/